ドラコの資産運用 織田俊夫

政治、経済、社会、を常識眼で分析すれば資産は10倍になる

アメリカ、奴隷制度を支持してた民主党を黒人が支持、理想主義の民主党と現実主義の共和党

 リンカーン共和党奴隷制度に反対、一方でプランテーションで黒人を働かせていた南部の人達は奴隷制度存続賛成で民主党を支持していた。南北戦争共和党リンカーン率いる北軍が勝って奴隷解放がされた、と学校の歴史で習ったはずだ。

 だが奴隷だった黒人の多くは今逆に民主党を支持している。昔奴隷制度存続を考えていた民主党をどうして多くの黒人が支持しているのか。大学入試の記述問題にでもできそうな良問かと思う。

 どうも答えは1960年代の公民権運動にあるようだ。民主党は黒人やマイノリティーが選挙権を持って政治に参加することによって支持者を広げようとした。そしてそれを面白くないと思っていた一部の白人は民主党を去って行った、ということのようだ。

 肌の色が違っていても政治に平等に参加することができる世界を作るという公民権運動は人種差別の厳しかった当時としてはものすごい理想主義だった。当時共和党の支持者や白人の多くにも公民権運動を支持する人は多く国民全体の運動であったが、民主党が主な活動母体であったことは間違いない。そしてアメリカ国民はその理想に熱狂した。

 民主党はもっと過去を振り返ればウイルソン国際連盟を提唱している。アメリカは結局議会の反対で参加はしなかったが、今の国際連合につながる国際協調組織を考え出した。そしてウイルソンノーベル平和賞を受賞している。

 また最近では民主党クリントン政権時代の副大統領ゴア氏が環境問題を正面から取り上げた「不都合な真実」でノーベル平和賞、そして核廃絶を演説した民主党オバマ氏もノーベル平和賞を受賞している。

 ノーベル平和賞を受賞したアメリカ大統領は、セオドニア・ルーズベルトウッドロウ・ウィルソンジミー・カーターバラク・オバマ、の4人のうち3人が民主党でセオドニア・ルーズベルトだけが共和党だ。

 理由は民主党は理想主義で、共和党は現実主義だからだ。理想主義を掲げて努力すればノーベル賞を受賞できるチャンスはあるが、共和党のように最初から現実を見て対応するとなるとノーベル賞を受賞できるチャンスはない。

 民主党の「国際連盟」「公民権運動」は崇高な理想だった。これで多くのアメリカ国民は感動し民主党を支持したのだ。そして理想主義はいろんな人種から構成されている民主党員を束ねている。

 だがこの理想主義は民主党の強みだが、理想主義が間違った方向に向かうと民主党の弱みになってしまう。民主党は絶えず理想主義をかかげないと党員が離反していく。その無理がこの半世紀出てきているように思う。

2020年5月29日