ドラコの資産運用 織田俊夫

政治、経済、社会、を常識眼で分析すれば資産は10倍になる

金の卵を産むガチョウ 続き

 数年して賢い農夫は何万羽という金を生むガチョウを飼うことになりました。

 もちろん国中で一番のお金持ちになりました。

 美味しいパン、高級なワイン、キャビア、フォアグラ、トリフ、あたたかくてきれいな服、大きなお家、なんでも気前よく金のたまごで支払いをして行きました。

 美しくてやさしい女性と恋に落ちて結婚することもできました。

 そしてこどもにも恵まれなに不自由ない生活を送っていました。 

 それだけでなく金のたまごを貧しい人たちに配ったり病人の為 の病院も建てたりしました。

 欲しいものは全て買ってガチョウのたまごの金で気前よくしはらっていきました。

 何人もの召使を雇いました。彼らにもきちんとお給料を支払いました。そして大きなお家の中で外出もせずに幸せに暮らしていました。

 そんなある日のこと召使がやってきました。

「ご主人、お給料を上げてもらえないでしょうか」

 賢い農夫はけっこう支払っているのにと思いながら少しお給料を上げてあげました。

 しかし不思議なことに翌日その召使が辞めて行きました。

 次の日別の召使がやってきました。

「ご主人、ガチョウのたまごを買うお金がありません。」

 ガチョウの金のたまご一個でガチョウのたまごなどいくつでも買えるだろうと賢い農夫は召使に言いました。

「ご主人は何もわかっておられない」と言ってその召使も辞めて行きました。

 結局なぜかしらどんどん召使はいなくなり最後は誰もいなくなりました。

 その賢い農夫はしょうがないので街に自分で買い物に出かけました。

 何年かぶりの街でした。

 街は金色に輝いているではありませんか。

 橋も道路も建物もみんな金で出来ているのです。とてもまばゆくてきれいではありませんか。

 賢い農夫は金のたまごをもって市場にいきました。

 ガチョウのたまごを買おうと店の人に金のたまごを差し出したところ、

「そんなものでガチョウのたまごは買えないよ!他のもので支払ってくれ」と言われてしまいました。

 そうなのです。賢い農夫のガチョウたちが生み続けたたまごの金はどんどん街に広がって金の値打ちが下がってしまったのです。

 街の人達は安くなった金でフォークやナイフを作りました。

 さらに街には金があふれ、建物も道路も橋も石や木でつくるよりも金で造る方が安くなってしまったのです。

 そしてなんと金のたまごは普通のたまごよりも安くなってしまったのです。

2021年11月27日