ドラコの資産運用 織田俊夫

政治、経済、社会、を常識眼で分析すれば資産は10倍になる

映画「JULIA(s)」を観てきた。

 ピアニストを目指す17歳のJULIAは1989年ベルリンの壁が崩壊するニュースを見て寄宿舎を抜け出してベルリンに行こうとする。

 パスポートを寄宿舎に忘れてバスに乗り遅れたJULIAとベルリンの壁まで行ったJULIA、その後本屋でちょっとのことで運命的な出会いがあったJULIAとなかったJULIA、コインの裏表でバイクの運転を決めたJULIA.,些細なことで人生が異なった4人のJULIAを描いている。

 JULIAに出てくる4つの人生の分かれ目は本人が選んだのではなく、偶然が運命を変えている。

 違う4つの人生に出てくる父と母は常にJULIAに優しい。そしてJULIAはいずれの人生も挫折し苦悩し幸せになって生きていく。

 フランス映画はいつも考えさせられる、星ふたつ。

 我が身を振り返り岐路を自分で決めたことが何度かあって、選ばなかった人生を歩んでいたらどうなっていたかと思うことはある。だが偶然で決まったことをもし違っていたらと思ったことはなかった。

 しかし思い出した。

 私は大学を卒業して商社に勤めていた。何度か海外出張もしていたのだが、当時航空券は海外と東京との往復に東京から大阪(または福岡)までの片道の航空券がオマケでついていた。会社のルールでそれは個人で使っていいことになっていた。

 当時妻が関西にいて遠距離恋愛となっていたので月に1,2度東京大阪間を新幹線で往復していた。

 私は片道の航空券を持っていたが面倒でいつも期限切れになって捨てていた。先輩からもったいないぞと言われて会社のデスクの引き出しにあったチケットを探し出し使おうと思っていた。その時もやはり仕事が忙しくて結局飛行機を予約せずに東京から大阪まで新幹線で関西まで帰ったのだ。

 その日東京発大阪行きの日航機は墜落した。

 何分の1か、何十分の1の確率で私はあのフライトに乗っていたのだ。

2023年6月3日