ドラコの資産運用 織田俊夫

政治、経済、社会、を常識眼で分析すれば資産は10倍になる

武漢から西安に移転した動物園

 以下はフィクションです。

 

 李は動物園の事務所の窓から外を見ている。引越しする前の動物園を思い出していた。

 その動物園は巨大だった。

 飼育係の李は突如幹部からこの巨大な動物園を引越しするように命じられた。  

 広さはサッカーコートの100倍以上ある。

 動物園と言っても実質は大量の動物を生産して出荷する多種多様な家畜小屋だった。

 檻の中にはサル、牛、豚、羊、山羊、が飼育され繁殖されている。ねずみ、コウモリ、にわとり、ハト、などはそれぞれの繁殖用の巨大なビルがあってその中で大量に繁殖飼育されている。また蚊などの虫も繁殖されていた。

 李の仕事はこの動物園で飼っている動物を繁殖飼育して隣にある研究所に出荷することだ。どんな研究に使われているかは李はしらない。

 遺伝子の組み換えの研究であるとは聞いたが、疫病の研究であるとのうわさもある。

 李のもう一つの仕事は隣の研究所から戻ってきた動物を償却処分にすることだ。生きて帰ってきた動物も死んで返ってきた動物も完全に防護された焼却場で1500度の高温で償却している。

 李はこの動物園を西安に3ヶ月以内に引っ越すように命じられた。

 引越し先はまだ原野らしい。これから整地されて建物が建てられるらしい。3か月で出来るわけがないのだがそれに向かって引越しの段取りをやるしかない。

 3か月の間に引越し先は急ピッチで準備を整えた。準備に合わせて動物たちを順次トラックに載せて引越しさせた。3か月後動物園のすべての動物が出荷された。

 そのすぐあと隣の研究所にいた動物や虫が7台のトラックに載せて西安に向けて出荷されることになった。輸送中動物の世話をしないといけないので李はこの7台のトラックに動物園のスタッフたちと同行した。

 なんでも研究所で何らかの病気を感染させた動物たちらしい。厳重な防護をしたトラックだった。

 西安市内に入った時、一台のトラックが事故を起こした。別のトラックとぶつかり横転したのだ。

 幸いトラックは元に戻され自走可能だった。だが荷台の一部が壊れた。

 この時ねずみを入れていた箱が壊れた。数匹のねずみが逃げたと運転手は言っていたが後にそれは運転手の勘違いだったらしい。また輸送していたねずみは疫病に感染していたものではなく遺伝子組み換えのものだったらしい。いずれにせよ逃げたねずみはいなかったと聞いた。

 あれから1年経った。

 李は引越しした新しい動物園を窓から見ている。さっき新しい病気がこの街で広がっていると言う噂を聞いた。

 

あくまでもフィクションです。

 

2021年12月31日