我が家には深い中ぐらいの木製のお盆、菓子入れがある。
妻がデパートやスーパーで買ってきたチョコレートや焼き菓子が無造作に入っている。時々マンションのご近所さんからもらったお裾分けやたまに来るお中元やお歳暮も入っている。
仕事をしながら適当につまんでいることが多い。先程パソコンを見ながら平べったい万頭を口に入れたら何やら旨い。
私は大学受験の浪人の際に上賀茂神社の近くの予備校の寮に入っていたが、たまに母親がのぞきに来ると上賀茂神社で「焼き餅」をいく箱か買ってお土産にし一つを私にくれていた覚えがある。
辛い浪人時代に味わったからなおさら美味しく思うのかもしれない。
特に特徴のある「焼き餅」ではない。餡を白い餅でくるんで軽く両面を焼いてあるだけだ。甘さが心地よく餅も旨い。
それにしても大胆な名前だと思う。
横浜の「崎陽軒のシュウマイ」はシュウマイではないし、鎌倉の「鳩サブレ」はサブレではない、「青柳ういろう」はういろうではない。
「上賀茂名物焼き餅」「京銘菓焼き餅」とかになりそうなのに、「焼き餅」という一般的な言葉を菓子の名前にするのは相当の実力だ。
奇抜さを求めずに長い歴史の中で生き抜いてきた味なのだろう。
濃いお茶でも入れようかと思う。
2022年10月30日