矢野康治財務事務次官が「バラマキのような政策論」と自由民主党政権を始めとする各政党がコロナ対策として財政赤字を無視した多額の予算を議論しようとしていることを週刊誌に論文を出して批判した。
高市早苗政調会長は「大変失礼なこと、困っている人をまず助ける、税収は景気が回復すれば戻っている」とNHKの日曜討論でド正論で真正面から矢野氏の発言を封じ込めた。
ネットの世界では東大まで出てバカの一つ覚えのような均衡財政主義を主張している財務官僚はエリート意識だけ高いバカだと非難の声が多く上がっている。
まず面白いのは矢野氏は東大出ではなく一ツ橋経済学部卒だ。
私の受験の頃、大学の経済学部はマル経と近経に分類されていた。
近代経済学はアダムスミスとかエンゲルスとか資本主義を基本とした経済学だ。
どこの大学とは言わないが、心ある進路指導の高校教師は私たちに偏差値が高くても絶対にマル経の大学に行くなとアドバイスしていた。
偏差値が高い大学は学生運動で過激派の残党が残っているし、マル経の大学経済学部は企業に嫌われているから就職ができないとはっきり言っていた。
学生運動思想の根幹となっていたマルクス共産主義は学生運動の挫折とともに衰退し、そのころすでにマルクス経済学は役に立たない学問に成り下がっていた。
矢野氏の卒業した一橋経済学部はマル経ではなく近経だ。すべての近経大学の中で一番優秀でまともなところだ。
若い矢野氏はばかなマルクス経済学を勉強することなくまともな近代経済学を勉強したのだ。
だが矢野氏はそこで勉強をやめたのだろう。
今や国家が黒字の状態で国の財政赤字はもしかすると無限に許されるのではないかという理論が出てきている。
実際日本は1000兆円以上の国債を発行しながら破綻の兆しはまったくない。財政均衡主義は少なくとも修正が必要で今や必ずしも正しい理論とは多くの識者に思われなくなっている。
もしかすると役に立っていた近代経済学部もこれからさらに二分化されるのかもしれない。
次期総裁候補高市早苗氏は本人がどう思うかは分からないがある程度の「財政不均衡容認者」だ。
彼女は神戸大学経営学部卒だ。この大学もマルクス経済学ではなく近代経済学を教えているまともな経済学部で一ツ橋経済学部に次ぐまともな大学だ。
二人とも無用のマルクス経済学ではなくまともな近代経済学を学んだのに40年経つと一方が「財政均衡市場主義」に固執し、一方は「財政不均衡容認」になっていると言うのは大きな違いだ。
ひとえに高市氏は40年間経済や社会をよく勉強し実態を見てきた。矢野氏は財務省の教条主義的なものの考えに頭を40年間どっぷり付けて腐らしてしまった結果だろう。
2021年10月12日