財務省官僚がおそらくまともな経済学を学んでいないのではないかと言う疑問を先のブログで述べた。
一般に頭が良くて専門家と信じられている人たちが意外と知識や能力がないことがある。
そんな時に正直に僕は分かりませんと言えばいいのだがエリートたちは言わない。プライドがあってそう言えないことも多いし、周りから賢いと言われるので本気で分かっているつもりになっている人もある。
その昔商社に勤めている頃期末に上司から急に呼ばれた。
どうも全体の予算会議で各部門もう少し利益を出さないといけないらしい。そのころ海外のプロジェクトの関係で小さな土地建物を部で購入することになっていた。
商社の場合各部門の会計システムがあってそれぞれの部門が独立した会社に近いような損益計算書と貸借対照表を持っていた。
「例の30万ドルの不動産を購入するの待ってくれ、わが部門でもう少し利益を出さないといけないんだ。30万ドルあればかなり目標に近づく!」
私は一応少しは簿記を知っていたので、
「部長、それ止めても利益になりませんよ」と言ったら、さっさと購入するのを来期まで待てと言われてしまった。
30万ドルの不動産を買えば資産から30万ドルの現金が亡くなるが資産に30万ドルの不動産が増えるので損益は変わらない。不動産を買っても買わなくても損益には影響しない。もちろん手数料などは費用として出るが大した金額ではない。
基本的なことを何もわかっていない人に説明するのはけっこう難しいものだ。しかも若かった私には部長にまた叱られたらと黙ってしまった。
一応部長は一流国立大学の経済学部を卒業していた。
後々他の仕事でも商社マンと仕事をすることがあったが、意外と簿記を知らないことに驚いたことがある。今は状況は変わっているのかもしれないが。
2022年7月15日