ドラコの資産運用 織田俊夫

政治、経済、社会、を常識眼で分析すれば資産は10倍になる

ソフトバンクグループのの赤字は3兆円だけなのか疑問。

 ソフトバンクグループ(以下ソフトバンク)2022年第一期決算は3兆円以上の赤字となった。

 だがソフトバンクの赤字は3兆円だけなのだろうか。

 もちろん監査法人の監査を受けているので経理上問題のない形で決算報告がされているはずだ。

 だが一般企業、銀行、メーカー、商社、通信、運輸などの業界における決算と同じように見てはいけない。

 それはソフトバンクが投資会社だからだ。

 投資部門として上場した会社を扱うビジョンファンド1と未上場会社を扱うビジョンファンド2がある。

 世界的株価が下落でビジョンファンド1の資産が減りその分赤字になったと言うのは分かる。上場会社の株式を持っていて100万円で買ったのに80万円になったら資産が20万円下がったと言うのと同じだ。

 だがビジョンファンド2は未上場の株式を持っている。購入した価格で評価がなされて購入後評価額は変わらないと思っていたがそれが違うみたいだ。

 未上場会社の将来生み出す利益やキャッシュをベースに評価を行う。株式評価には会社個別の事業計画が基になり、将来上場する市場の環境にも影響されることになる。

 未上場の新興企業の株式を1億円で購入した場合、親会社はまず株式を株式資産1億円を計上することになる。

 だがその企業が将来利益を出して毎年5千万円の利益が出るとしたらその株式を1億5千万円で評価して計上する。差額5千万円は親会社の利益になる。

 将来儲かりそうな事業計画をつくれば株価評価を上げてそのまま利益にできるのだ。

 逆に1億円で購入したのに思うような事業計画ができなかったり、世界市場の悪化すると例えば評価は7千万円になる。その場合1億円と7千万円との差額3千万円が損失となる。

 ビジョンファンドの利益は投資先の事業計画と市場状況で決まるということだ。

 孫正義氏は世界的な株安、つまり市場状況で評価が下がってしまったのが3兆円の損失の原因だとしている。確かにそれは正しいだろう。

 だが私がそれ以上に疑いを持っているのは投資先の事業計画だ。

 ビジョンファンドの投資先は400社あるらしいが、多くの会社が赤字であるしビジョンファンドは純資産以上で未上場株式を購入している(ブログ2月21日「ソフトバンクグループの「のれん代」という含み損」参照)。

 ビジョンファンドが購入したWEWORKは時間貸しオフィスの会社だ。都心にあるレンタル事務所はおしゃれに見えるが、不動産業界では「転貸」という従来からのビジネスモデルで新しくもなく大きな利益を得られない。それにもかかわらず孫正義氏は大金を投じた。

 私は同様に400社の事業計画を精査していけばほとんどが博打同然の無謀な投資ではないかと見ている。

 400社の事業計画をもし私が精査したら5兆円ぐらいマイナスになって、そのまま5兆円がソフトバンクグループの損失になるかもしれない。

 例えれば競馬の馬主になるようなものだ。

 1000万円で買った馬が将来勝つ可能性が高いのでそれを見込んで自分で3000万円の値段をつけて差額2000万円は利益になったと喜んでいたのだ。そして競馬業界が少々不景気になったので3000万円から1500万円になって1500万円の損失が出て今落ち込んでいる。

 しかしこの馬は3000万円でもなければ買った1000万円でもなく1万円でも売れない駄馬である可能性があるのだ。今それを400頭飼っている。

 すでに投資してしまった多くの人々は400頭の中に駿馬が何十頭いるはずだと信じている、いや信じたいのだろう。

2022年8月14日

投資はご自身の判断とリスクでお願いします。