ドラコの資産運用 織田俊夫

政治、経済、社会、を常識眼で分析すれば資産は10倍になる

バブルを生き延びた人たち その4

 大手商社に入社して数年目のある日課長に呼ばれた。

 頭の切れる課長で英語はよくできるし物事はよく見ていて判断できるしやることが早かった。

 正直入社して何年か経っていたが、そもそも仕事が出来ない私であったので何年たっても絶対に追いつくことはできないと思っていた。

 課長の机の所に行くともうちょっとこっちに寄って来いとの仕草、

 課長の横に行くと一枚の紙に14百万円プラス端数のある数字が書いてある。嬉しそうに課長は、

「ゴルフの会員権買ってしまったんだよ、お前も連れて行ってやるからな。」

 ゴルフが大嫌いなので連れて行ってもらうのは遠慮したいと思っていたが、サラリーマンの端くれだったので、小さな声で「すごいですね!これからどんどん値上がりしますし、○○ゴルフ場は名門ですものね」ときちんとおべんちゃらを言った。

 その課長、仕事ができるばかりか資産家の息子だった。

 某航空会社の株式をたんまり持っていて株式配当だけで商社の給与ほどあるときいていた。

 仕事のできない私を銀座、六本木、新宿のママのいる店に何度も連れて行ってもらった。間違いなく全部会社のお金だったと思うが懐かしい。

 その10年ほど後に私は商社を辞めてしまった。

 あのゴルフ場は倒産したと聞くし某航空会社は経営破綻し株式の価値はゼロになったはずだ。

 当時私は課長の言うことなら大丈夫と真似をして同じ某航空会社の株式を1000株買って後に株券を紙切れにしてしまっている。

 あの頭のいい課長はゴルフ会員権も某航空会社の株式もうまく売り抜け出来たのだろうか。

2022年7月1日