第一次世界大戦はオーストリア皇太子のセルビアのサラエボでの暗殺がきっかけで始まった。
ここを知っていればだいたい大学入試の知識としては大丈夫なのだが、その後の戦争拡大は歴史教師でもすべて語るのは難しい。
サラエボ事件をきっかけにオーストリアはセルビアに戦線を宣戦布告する。
セルビアと同盟関係にあるロシアがオーストリアに対しての参戦の準備を始めると、それに危機感を感じたオーストリアの同盟国ドイツがロシアに宣戦布告する。
ドイツがロシアに参戦するとロシアと同盟関係にあったフランスがドイツに宣戦布告する。フランスは1870年普仏戦争敗戦の復讐を考えていた。
ドイツがベルギーとルクセンブルグに攻め込んでフランスに進軍するとベルギーの中立を侵害したとしてイギリスがドイツに宣戦布告した。
次々と参戦国が増えトルコやアメリカも参戦した。日本も連合国として参戦しドイツ領有の青島やサイパン諸島などを攻略している。
最終的には20か国が連鎖して参戦し、1000万人の兵士が戦死し、1000万人の民間人が死んだ。まさに人類史上最初の世界大戦となった。
オーストラリア皇太子暗殺時世界の人々はきな臭さを感じはしたもののまさか世界大戦になるなどとは思っていなかった。ドイツとロシアの戦いが始まった段階でも数週間、長くても数か月で戦争は終わると思っていたらしい。
同じことが10月7日のハマスのテロ攻撃にも言えるかもしれない。
報復でイスラエルがガザに侵攻する。ヨルダン川西側のヒズボラがイスラエルに攻撃を加える。イスラエルが反撃をする。シリアがイスラエルに参戦する。アメリカがシリアに攻撃を加える。イランが参戦する。アメリカがウクライナと中近東に戦力を回した隙をついてロシアが港湾都市オデッサを攻略する、中国が台湾に侵攻する。
第一次世界大戦は欧州が主戦場だったが、第三次世界大戦は中近東と東アジアを含めた地球規模の文字通りの世界大戦になる。
100年以上前の人々のように今人々はきな臭いのは間違いないが世界大戦になることはまずないだろう、誰かが止めるだろうと思っている。
だがハマスのテロ攻撃が世界大戦戦争戦争への大連鎖の危険は確実にある。
将来高校生が第三次世界大戦のきっかけがハマスのテロ攻撃であることは覚えても、塾講師でもその後の戦争拡大の説明が難しいという事がありえるかもしれない。
2023年10月24日