フランスの巨匠バルザックの小説「幻滅」が映画化されたものだ。
バルザックは巨匠と言われるだけあって間違いなく面白かった、星五つだ。
19世紀の初めフランスの田舎の印刷工として働く孤児でイケメンの主人公は詩を書いていた。その土地の上流階級の妻は彼の文学を知人たちに紹介して支援する。だが貴族社会の壁は高く受け入れてもらえない。
二人はパリに駆け落ちをする。ここでも彼は上流階級に受け入れてもらえず、彼女の周りは二人を別れさす。
彼は生活の糧を得るために新聞社に勤める。そこで文章が得意な彼は一気にのし上がっていく。そして若い舞台女優と恋仲になる。
彼は文学のことを忘れひたすら金になる記事を書くことで有名になっていくが、やはり貴族社会に憧れている。
伝手を使って戸籍をいじり貴族社会に入ろうとする。しかし彼を面白く思わない上流階級の人々はそれを阻止し、彼と女優の彼女を追い落とす。
失意のうちに彼女は結核で亡くなり、彼は棺桶代も払えずに田舎に帰っていく、と言うストーリーだ。
「幻滅」が日本語タイトルだがフランス語を直訳すると「破壊された幻想」となっている。この方がいいように思う。
憧れた幻想は彼が思うようなものではなかったし、そして得ることはできなかった。
登場人物それぞれが良く描かれている。これだけの数の登場人物を同時に人間臭く描けるのがすごい。
私は中学校ぐらいに日本の短編未来小説を読むぐらいで小説と言うものをほとんど読んだことがない。
バルザックについて世界史の教科書に載っていたので名前を知っていただけだった。
フランス文学で読んだのはカミュの「異邦人」、サルトルの「嘔吐(おうと)」ぐらいだ。いずれの大学の教養課程の論理学でやったものだ。
思い出すといずれの小説も人間臭い。
今回映画をみてフランスの小説をいくつか読んでみようかと思っている。
2023年4月20日