ドラコの資産運用 織田俊夫

政治、経済、社会、を常識眼で分析すれば資産は10倍になる

経済学、ものが供給できる限りハイパーインフレは起こらない。

 3月27日のブログで物の値段は人件費と材料費からなっている、材料費はさらに人件費と材料費に分解される、そしてその材料費は人件費と材料費からなっていて最終的に物の値段は人件費から成り立っているとした。

 ただ物価は人件費だけで決まるわけではない。需要供給のバランスあるいは通貨供給量によって物価は上下することになる。

 新型コロナの経済対策で日本政府が国債を発行する、あるいは日銀が金融緩和をして貨幣が市場に大量に供給される、これらによって日本はハイパーインフレになると煽る人たちがいる。

 困ったのはそんな話を織り交ぜて財政赤字は悪として増税しようとする財務省の官僚たちだ。東大をはじめとする一流大学を出て難しい官僚試験を受けているので正しいと国民の多くが信じて騙されてしまう。彼らは本当のことが分かっているのかどうか分からないが国民に嘘をついている。

 日本政府が国債を大量に発行したり日銀が資金を大量に供給しただけでハイパーインフレは生じない。

 ハイパーインフレが生じるには二つの条件がいる。①物が不足していいて需要を供給が満たさない状況でかつ、②通貨が大量に供給された場合に生じる。

 両方が成り立った時に初めてハイパーインフレは生じる、具体的に過去や今の例を常識の目をもって見て行こう。

 第一次大戦後ドイツでは生産設備が破壊されルール工業地帯など重要な生産地域を戦勝側に奪われ生産物が供給されなくなった。これにより需要を供給が満たさない状況になりこに大量に通貨が供給された。結果①、②を満たしてハイパーインフレになった。

 同じことは戦後の日本においても同じだった。日本は戦争で壊滅的な打撃を生産設備に受け、その状況下で大量に通貨を供給したため戦前に比べて70倍のインフレになってしまった。

 コロナウイルスでマスクの需要が増え、買い占めによって供給が無くなり需要を供給が満たさなくなった、一方で日本国民はマスクを買うぐらいのお金は各家庭に十分あったので、マスクの値段は跳ね上がった。

 もしマスクがドラッグストアに山積みにされていたら日本国民全員が10億円現金を持っていてもだれも見向きもせずマスクの値段は上がらなかったはずだ。一方で日本人が毎日500円しか収入がなかったらマスクがドラッグストアから無くなっていたら同じマスクを洗って何度も使ったはずで、マスクの値段は上がらなかったはずだ。

 ①、②を満たした場合にのみハイパーインフレは起こる。だがいずれかが欠けた場合は生じない。

 バブル崩壊後も都心の不動産は根強い需要はあった。バブル後も都心のオフィス、マンションは魅力的だった。だが日本政府は国債増額を嫌い緊縮財政を続け日銀は資金の供給を渋った。①は満たしていたが②は満たしていなかったから東京の土地はバブルの時のように高騰せず20年間低迷した。

 今原油コロナウイルスによる経済停滞で需要が落ち込んでいる。供給が需要を満たしていて世界中で投資資金が有り余っているにもかかわらず原油価格は暴落している。①は満たしていないから②を満たしていても原油価格は石油ショックの時のように上がらない。

 物を十分作る設備と人そして海外からの十分な材料供給がある今、日本政府や日銀が大量に資金を供給しても少々のインフレになることはあるだろうがハイパーインフレになることはない。お分かりいただけただろうか。

2020年4月28日