ドラコの資産運用 織田俊夫

政治、経済、社会、を常識眼で分析すれば資産は10倍になる

低賃金がささえる「おもてなし」

 今東京オリンピックの開催延期が決定的になっているが、東京オリンピック誘致に際に滝川クリステルさんが「おもてなし」という言葉を使った。

 概ね外国人観光客の日本の評判はいい。多くの観光スポットがあることだけでなく、日本のおもてなしに満足している。

 だがこのおもてなしの根源を日本人の民族性だけに求めるのは無理がある。

 ほんの30年前一般の日本人は英語ができないから外国人から逃げていた。

 さらに筆者は高度成長時に上京したが、東京の食堂や飲み屋は決してサービスが良かったわけでなく、1990年から30年間の不景気、低成長を経て東京のサービスはよくなったのだ。東京の人はもともとサービス精神などなかったのだ。

 この最上級のサービスであるおもてなしはパートタイムや労働者の長時間労働と低賃金に支えられているのだ。

 24時間営業のコンビニエンスストア、安くて飲める居酒屋チェーン店、200円コーヒーの喫茶店、留守にしてもまた配達してくれる宅配業者、みんな安い賃金であるにも関わらず笑顔で応対してくれる。

 だがコロナウイルスと消費税増税の前の2020年9月頃に日本のおもてなしは危機に瀕していた。

 コンビニエンスストア、飲食チェーン店、宅配業者で人材確保ができない状況になっていた。企業は賃金アップで人材を確保するか機械化、IT化の合理化で対応するしかない。

 さらに賃金が上がっていくと合理化には限界が来てサービスが低下する、例えばセブンイレブンが検討しているように24時間営業を止めたりすることになる。

 最終的には飲み屋では若い女の子はもっと割のいいアルバイトをすることになり、おばあちゃんが配膳してくれることになる。そして23時には閉店で追い出される。さらに景気が過熱するとアルバイトのおばあちゃんたちももっと割のいい仕事を見つけ、店は常に人員不足で殺気立ちおばあさんの笑顔もなくなることになる。

 人件費の高い欧米では安いおもてなしが成立しないが人件費の安い日本では安いおもてなしが成立する。そのギャップで外国人観光客は日本に来ているのだ。

 今後日本は低賃金に支えられた安いおもてなしは次第に困難になり、一人当たりの所得を上げていくことになる。

2020年3月24日

飲食業、宅配業、コンビニエンスストアなど低賃金に支えられた産業はコロナウイルス問題が解決したあと再び厳しい状況になる。投資は控えるべきと考える。

投資はご自身のリスクと判断でお願いします。