「物価ほとんど人件費だけから成り立っている」と考えると世の中分かりやすい。
例えば喫茶店のコーヒー代は従業員やオーナーの給与利益である人件費とコーヒー豆、電気代、ガス代水道代、賃貸料、などの人件費以外の「広義の材料費」(人件費以外の費用)からなっている。
さらに材料のコーヒー豆は業者が配達してくれるが、その業者の従業員とオーナーの利益である人件費とコーヒー輸入代金、焙煎するための設備費、電気ガス代、賃貸料などの「広義の材料費」になる。
電気ガス代も電気ガス会社も人件費と電気ガス輸入代金、設備費用などの「広義の材料費」に分けられる。またガス電気会社のプラントなどの設備費用もさらにプラントメーカーの人件費と「広義の材料費」に分けられる。
このように喫茶店の一杯のコーヒーは人件費以外の「広義の材料費」である電気ガス代、賃貸料なども分解していけば「人件費」と「材料費」にさらに分解されていく。
そしてどんどん分解していくとほとんどが「人件費」になる。残るのは輸入代金ぐらいになってしまう。
輸入代金にしてもその費用は輸入元の人件費と材料費に分けることができる。
つまりこの世の中の物価はほとんどが人件費で構成されていて材料費はほんの一部ということになる。
喫茶店のコーヒー300円の内分解すればコーヒー豆の輸入代金、ガス電輸入代金、そのほかの材料輸入代金以外は日本人の人件費から成り立っている。少し分解をすれば300円の内簡単に250円ぐらいは人件費に分解できるはずだ。
このことから言えるのは「日本人の賃金を上げないと物価は上がらない」別の言いかたをすれば「日本人の賃金が上がると物価は上がる」ということだ。
完全失業率がゼロになり人手不足になって賃金が上がる、企業は売値を上げざるを得なくなる、賃金が上がると物価がようやく上がるという理屈だ。
ただこれだけで物価が決ま鵜訳ではない。
石油などの輸入材料費が上がれば物価が上がるというのは事実だ。
ただ喫茶店のコーヒー一杯のようにコスト全体に占める割合は少ないのでよほど大きくないと物価に影響しない。また最近は世界がグローバル化して競争が厳しくて原材料が安く手に入るようになっている。
需要が大きくなったり設備が少なくなって供給がしぼられて物価が上がるのも事実だ。今コロナウイルスでマスクが不足して値段が上がっている。しかし設備はすぐに増えて供給が需要を満たしてしまう。マスクの値段は数か月以内に落ち着くはずだ。
また金融政策で資金が潤沢になって物と比べて貨幣の量が増えると物価は上がる。
このように物価は材料費の変動や需給関係や金融は物価に影響を与えるが、その前にモノの値段はほとんど人件費であるという基本を理解すると経済が分かりやすくなる。
失業率と物価の関係を示した「フィリップス曲線」というのがある。普通の説明を読んでもさっぱり分からない。本ブログを頭に入れて「フィリップス曲線」の説明を読んでいただければ理解できるかと思う。
2020年3月27日