トマ・ピケティ―の「21世紀の資本」で以下のことを述べている。
1.労働による所得の増加よりも投資で増加する所得の方が多い、
2.戦争は金持ちの資産を破壊するので、戦争という大惨事で不公平が是正される。
具体的に言うならば平和な時不動産投資をする金持ちはどんどん利益が上がり資産が増えていく。労働者の賃金も上がるがそれ以上に不動産での収益が上がっていくので、社会の格差は広がっていく。
しかし第二次世界大戦のように戦争が起こると不動産は空襲などで破壊されてしまい、金持ちは一気に貧乏になってしまう。その結果皮肉にも社会の格差が縮小するということだ。
習近平が今やっている「共用富裕」とは中国の大破壊だ。
識者の中には「第二の文化大革命」と呼ぶ人もいる。
毛沢東が行った文化大革命で何千万人の人が命を落としたと言われているので、習近平の「共用富裕」とは同じとは言えない。
しかし膨れ上がった中国の不動産バブルを破壊することは文化大革命と同等あるいはそれ以上の損失を中国経済に与えることになる。
「共用富裕」の不動産規制は文化大革命のような衝撃と戦争と同じような大災害をもたらすことになる。
それは人々、特に金持ちにとって悲劇であることには間違いない。
経済は停滞することになり、中国政府が適切な対策をしないと失業者があふれることになる。そのことを西側の経済界は心配している。
しかしトマ・ピケティ―が言うように戦争のような大破壊のあとには比較的平等な社会が待っている。
そこには多くの中間層がいて普通の労働者がマンションを何と買える社会になっているのかもしれない。
習近平が推進する「共用富裕」の先には1990年ぐらいまでの日本のように多くの人が中間層だと自覚する社会が来るのかもしれない。
もちろん中国の場合言論が弾圧された暗澹たる社会であることには違いない。
そして私はたとえ中国が中間層の多い社会になったとしても住みたいとは思わないのだが。
2021年9月28日