もう少し物価が上がった世界を想像してみよう。
昨日説明したように人件費が上昇しても値段がかなり上がるものとあまり上がらないものが出てくる。
コストに占める人件費の割合が大きいものは値段が上がるし、人件費の割合が少ないものは値段がそんなに上がらない。
人件費が2倍、100%に国民全員一律で上がった場合をもう少し想像してみる。
一律で給与が上がるかどうかは経済社会制度によるし、政策によっても異なってくる。
この点は別の機会に述べるとして労働者の給与が全国民同じく100%上がることとする。
最低賃金は1000円から2000円になる。1000万円のサラリーマンの給与は2000万円になるのだ。
一方で人件費が上がるのでいろんなものの価格が上がることになる。
衣食住を含めて物の価格がどうなるか見て見よう。
数値の計算根拠は人件費が多く含まれているかどうかを感覚的に見たもので確かな数値をもとに計算したものではない。
1. ユニクロ製品は1000円のTシャツは1500円になる(50%)。
そのころまだ中国での生産を止めてもっと安いインドやアフリカで生産していたとし たら、輸入時の価格は同じになる、それにユニクロの人件費を含めたコストと利益が載せられる。人件費の割合は少ないのであまり値上がりしない。
2.日本のブランド物の衣類は2万円は例えば3万5千円になるだろう(75%)。
ブランド品にはデザイナーなどの人件費が含まれるからユニクロ製品よりも上昇率は高くなる。
3.スーパーの食品は500円から750円になる(50%)。
スーパーの肉野菜には人件費割合は少ないので人件費上昇程上がらない。
4.コンビニエンスストアの食品は500円から800円になる(60%)。
24時間営業でスーパーよりもより人件費が必要なのでより高くなる。
コンビニはこれから24時間営業を止めるか機械化などの省人化が迫られる。
5.居酒屋・レストランは1万円が1万9千円になる(90%)。
高級な所ほど値上がりが大きくなる。アルバイトを時給2000円で雇わないといけないので安い居酒屋チェーン店と言えども人件費の値上がりを価格に反映しないとやっていけない。
6.住宅価格は2000万円が3500万円になる(75%)。
材料費は同じだとしても建築作業員の給与が倍になるので上がる。住宅は人件費の部分が大きくかなりの値上がりが予想される。
7.医療費は2000円が3500円になる(75%)
医療費は設備費用と医師の給与からなっていると言ってもいい。住宅価格と同じようにかなりの値上がりが予想される。
尚、厚生労働省が社会保障費を減らそうとするので医師の給与は他の労働者と同じレベルで増えない。一方で自己負担は増えることになる。
8.100円ショップは110円が143円(30%)になる。
輸入品がほとんどなのでそれほど値上がりはしない。
以上人件費が100%上がった場合、コストに占める人件費が多い少ないで値上がりが違ってくる。人の手間をかけているものは価格が上がり、人の手間がかかっていない物は価格が上がらない。
今後お金を貯めようと思ったら、なるべく人の手を惑わさずに自分でやるのだ。スーパーで買い物をして自炊し、簡単な工事は自分でやるDIYをやり、100円(150円?)ショップで買い物をし、衣類は安い輸入品ということにし、外での飲み会は年に2回程度してホームパーティーにするといいうことだ。
また見てきたようにそれぞれの値上がりは100%以下だ。
人件費を100%上げたとしても材料費が上がらないならばすべての物の値上がりは100%以下になる。
最低賃金が2000円になるので物の値段が上がっても1000%以下だから問題ないことになる。
もちろん平均して物価が上がればいいのだがそれは政策が大きくえいきょうすることになる。
この問題が残ることになるが、黒田日銀総裁が目指しているのは大まかにいうとこんな世界なのだ。
2022年1月10日