ドラコの資産運用 織田俊夫

政治、経済、社会、を常識眼で分析すれば資産は10倍になる

映画「シモーヌ フランスに最も愛された政治家」を観てきた。人工中絶について考える。

 この映画の原題は「Simone, le voyage du siècle, シモーヌ、世紀の旅」だ。

 主人公のシモーヌ・ヴェーユ氏は2017年に89歳の生涯を閉じている。

 1世紀近い間に彼女の名前が付けられたヴェーユ法と呼ばれた妊娠中絶を合法化する法律をフランス議会で猛烈な議論の末成立した。

 この時の議会での議論がすざましい。

 「胎児は人間だ、堕胎は殺人だ!」という保守からの当然の議論と罵声が飛んでくる。

 私もどちらかというとこの意見に賛成だったし、映画を観た後も変わりはない。

 だがシモーヌ・ヴェーユ氏は議会で猛烈なやじの中で演説を続ける。

「堕胎を望む女性など一人もいない。堕胎は今フランスのあちこちにおいて非合法で行われている。毎年30万件の危険な堕胎が行われている。フランスは法治国家ではない。彼女たちの安全と健康のために中絶を認める必要がある。現実をみるのだ!堕胎を許さない男性議員の諸君、貴方たちは今まで女性の権利地位向上のために何かしてきたことはあるのか。」

 というものだった。

 最後まで反対票が賛成票を上回ると予想された。

 だが最後演説した保守系有力議員は翻意して

「堕胎には反対する!だが法案には賛成する。」と言い最終的に法案は可決された。

 すべてがまっとうな議論だった。

 比べて日本ではLGBTの人達の置かれた現実も苦しみも知らずに、LGBTの人達が何人いるのかさえも知らず、そしてLBGTの人達の意見も聞かず法案が可決されたのだ。

 ロシア軍の反撃が始まりシモーヌ・ヴェーユたちはドイツ軍に連れられて敗走する。

 その時飢えたドイツ軍兵士やロシア軍兵士が女性に何をしたかについては述べられていたが、シモーヌ・ヴェーユ個人がどうだったかについてはぼやかしている。

 人工中絶合法案、刑務所や捕虜収容所の環境改善、は彼女が見たあるいは経験した辛い経験が元になっているのだ。

2023年8月10日