林真理子はなぜ理事長を引き受けたのだろうと多くの人が思っている。
作家の世界で一流だったのに今回の事件の対応でその実績すら失いかけている。
文章はうまいが危機管理はひらがなもかけないレベルと言っていい。経営についてはやっぱり素人だった。
私は東南アジアの現地法人社長としていくつか経験をしたが、社員が麻薬をやるリスクは絶えずあった。
どの政府も麻薬については厳しい。
売買など元締めなどをすると死刑判決を受けることもある。一般の人が麻薬をやって捕まった場合は刑務所には入るとしても更生期間を設けるなどしている国が多い。
私がやった麻薬対策は以下の通りだ。
だいたい麻薬をやっているというタレコミがある。
すぐさま知り合いの警察署長に連絡をいれる。これは自分が隠蔽疑惑を受けないためだ。林真理子氏はこの点で判断を誤った。躊躇する必要などまったくない。
次に麻薬尿検査をすることを社内に大々的に周知する。
麻薬検査があることを知った段階で被疑者はこっそりと会社を辞めていく。疑っていた人物が辞表を出してくることはよくあった。
何度か行った尿検査で幸いひとりも陽性者が出なかった。
だが陽性者が出た場合の方策は決められていた。即警察に突き出すのだ。
この点でも林真理子は判断を誤った。
「学生を信じ、被疑者が自首するのを待っていた。」などと寝ぼけた甘い組織を預かるトップとは思えない発言だ。物書きの感覚で経営をしてはいけない。麻薬使用者は会社あるいは大学の敵だ。躊躇などする必要はない。
もう一つ決まっていたのは陽性者が出たらすべて公開し社員と本社に連絡することになっていた。
そこには悪いのはほかの社員でも本社でも私でもない。麻薬をやったやつが悪いと言うことを明確に内外に示すためだった。
林真理子氏の立場に立って本件をまとめるとするならば、警察にすぐに通報し、警察の指導のもとに尿検査を行い、陽性者が出たら即大学の処罰をし、警察に突き出す、そして記者会見を行う、だ。
そして他の学生は悪くないとして大会の出場は行いたいとすればよかった。日本的に団体責任だと言う人もいるだろう。だがそこに議論を持っていけば林真理子氏は冷徹な判断ができる麻薬と戦う名学長ということになったはずだ。
2023年8月11日