ドラコの資産運用 織田俊夫

政治、経済、社会、を常識眼で分析すれば資産は10倍になる

跡継ぎを作るのは大変だ。

 西武グループ創始者堤康二郎氏にこどもが100人いたかもしれないと言いう話を聞いて昔を思い出した。

 商社マンの私が初めて海外駐在になった時、朝会社のビルの一階にある喫茶店でコーヒーを飲んでいると人事部長が座っていいかいと言ってやってきた。

 商社の人事はだいたい嫌われている。そもそも社員の生活など関係なく突然辞令を出す。裏で社員が悪いことをしていないかとか噂を集めていると思われているからだ。

 正直朝から嫌な人がやってきたと思ったのだが、

「ご長男も生まれて、駐在にもなってよかったねえ。」と言ってくる。

 商社の人事部長は平社員の家族構成まで知っているのは分かっていたが、やっぱりと言う感じだった。

 そのあと彼の話には考えさせられた。

「商社マンのお子さんはできるか、できないの二通りなんだ。」

「”できる”って言うのは普通に学校に行って普通に仕事につける人のことを言う、”できない”というのは学校に行けなくなってその結果仕事に付けなくなる人なんだ。」

 彼が言うのは商社マンのこどもは転勤が多く、インターや現地校に行くがその時に落ちこぼれてしまうこどもが相当数いる。お子さんを十分見てあげなさいというアドバイスだった。

 平たく言えば商社マンのこどもはバカが多いから気をつけなさいという事だ。

 実際商社時代の友人たちはこどもの話をあまりしないように思う。たぶんみんな親として苦労しているのだろうかと思っている。とはいえ商社マンの場合別に跡継ぎが必要な訳ではないからこどもが少々バカでもニートでもお家の問題になることはない。

 だが西武グループのようにどでかい財閥になると跡継ぎが大問題になる。

 堤康次郎がパワフルでやり手であったとしてもこどもが同じような才能があるわけではない。

 その対策としてこどもを沢山作ったのだろう。そして西武の場合100人のこどもの中に優秀なのが二人いたということなのかと思っている。

 堤康二郎氏の時代はこどもを100人作ってもそれほど批難されなかったが今それをやったら大変だ。

 岸田首相は100人のこどもを作ることができなかった。わずか3人の中から後継者を選んだのが失敗だったのだろう。今日本にはほかにも同じような失敗が一杯あるように思う。

2023年10月1日