「早く逃げないと!」
テレビニュースを見ていた妻が叫んだ。
何事かと思ったら香港の(元)政治活動家周庭氏、アグネスチョウ氏が逮捕されたニュースを見て妻が思わず言ったのだった。
アジアの人達は自分の国を捨てる人が結構いるのを知っている。
東南アジアに住んでいたころインターナショナルスクールのアジアの高校性たちの中で母国を捨てて海外に移り住むことを真剣に考えているこどもたちが沢山いた。
卒業するとアメリカ、イギリス、オーストラリアの大学に進学してその後母国には帰らずにその国の永住権を得て住むことを考えている。日本のほとんどの学生がアメリカなどに留学に行っても最終的には日本に戻ってくることを考えているのとは大違いだ。
特に韓国は母国に帰ると徴兵制があり、また窮屈な儒教社会があるので帰るのを嫌がっているこどもが沢山いた。話題になっている香港でも中国共産党の締め付けが厳しくなるずっと以前の2000年前後でも多くの香港人が次々とイギリスへ移住していたのを私は見てきた。
そんな母国を捨てることのできる人たちが多くいる東南アジアの人達のなかで周庭氏、アグネスチョウ氏は香港に残ることを決意したのだ。言論の自由を弾圧する中国共産党の支配が進むなかで逃げずに最後まで抵抗することを決めたように見える。
ミャンマーのスーチー女史のように軟禁されても民主化を唱え続けるのだろう。ミャンマーの場合全体主義かと思われた軍が民主化を進めたことでスーチー氏の民主化の思いは叶えることができた。でも中国共産党はミャンマー軍部のように民主化を図っていくことはまったく考えられない。周庭氏の未来はスーチー氏よりも厳しいものになる。
英語も日本語もできる彼女が海外に政治亡命することは簡単なことなのに、23歳の若さで香港に残ることを決めたのは本当に勇敢だと思う。そしてこの先の彼女に降りかかる苦難を想像するとどうか無事でいてほしいと思う。
逮捕されて乃木坂46の「不協和音」を歌詞を思い出していたらしい。彼女の日本が好きだということだし、日本の人々に助けを求めている、ということは間違いない。
でもやっぱり妻が言うように早く逃げたほうがいい、途中で諦めて海外に政治亡命しても誰も非難する人はいないはずだ。ましてや「不協和音」にあるようにプライドもなく仕事か金かハニートラップか分からないが中国に媚びている日本のおじさんたちに言う資格はない。
2020年8月13日