映画「赤い闇、スターリンの冷たい大地で」を観てきた。
世界恐慌時アメリカ、イギリス、フランスが不況に苦しむ一方でスターリン率いるソ連が共産主義のもと成長を続けている。それはどうしてなのかイギリスの27歳の記者がソ連に乗り込んでいく。
主人公は出国前にソ連の繁栄は何かがおかしいと言うが誰も相手にしてくれない。
ソ連で待っていたイギリスのジャーナリストたちはモスクワに半分軟禁状態に置かれてソ連政府が出す公式発表を本国に伝達するだけであった。監視され取材をしないばかりか夜は酒池肉林におぼれていた。
主人公はソ連の外貨取得の源泉はウクライナにあると考えて取材に行く、そこで観たのは想像を絶する飢えだった。
私は東西の壁が崩れた1991年に何度かウクライナに言ったことがある。上空から見るウクライナは小麦畑の黒い緑が地平線まで続きていた。ソ連時代小麦の60%をウクライナが生産していた。スターリンはその穀物をウクライナ農民から取り上げて生産設備を買っていたのだ。
主人公は拘束されたが運よくイギリスに帰ることができた。だがソ連はほかのジャーナリストを人質にとって主人公の口を塞いだのだ。
だが最後主人公は勇気をもって新聞発表をする。
まったく同じことは100年近く経った今中国で起こっている。
ウクライナやチベットで起こっていることを朝日新聞、毎日新聞、読売新聞、MHK,民間放送局、はまともに取り上げない。香港に行って取材する日本のマスコミは聞いたことがない。下手なことを言えば中国に駐在している記者たちが拘束される。現地の記者たちは中国政府発表の情報を日本に報告するだけ。金、女をつかまされている人もいるのだろう。
そしてたとえ勇気あるジャーナリストが中国の暗部のレポートが出たとしても積極的に取り上げることはないし積極的に無視する。
「赤い闇、習近平の冷たい大地で」が続編なのだ。
2020年9月4日