エアコンにしてもレジにしても客を客と思っていない東芝はつぶれて当然の会社なのだが、その原因は経営者にあって日本企業すべてに当てはまるのではないだろうか。
日本経済が立ち行かなくなった理由は1990年にバブルが崩壊したこと、その後の財政金融政策が適切でなかったこと、民主党政権が日本経済の息の根を止めたことなど思い浮かぶ。
ある問題が生じた時にその原因を一つに絞ろうとする方式が生産現場で良く行われているが、それをそのまま経済に当てはめるのは間違っている。なぜならば生産現場はいつも「正しく動いている」状況でその時に問題が生じれば問題の原因は一つしかないことが多い。
しかしいつも「正しく動いている」状況ではなく生産現場とは比べ物にならないほど複雑に動いている歴史や経済において、ある問題が生じたらそれが一つの原因から発生していると考えるのはほとんどの場合間違っている。
過去30年間日本の経済がうまくいかなかったのは実は日本の企業経営者それぞれが能力がなかったからなのだ。それも一つの大きな原因だった。マクロ的に日本政府や日本銀行が財政政策を失敗しただけでなくミクロ的にそれぞれの経営者がだらしなかったからだ。
私は総合商社に入社して15年ほど勤めたあとあるメーカーに転職し15年、その後3年後とに3社、全部で5社で働いた。いずれも一部上場会社だったがまともな尊敬できる経営者、役員は1人しかいなかった。
はっきり言ってどいつもこいつもバカばかり、単なる担当、課長、部長、役員であった私が上司を捕まえてバカだと言ってもだれも聞かないしが、バカな経営者の基準を言えば分かってもらえると思う。
「将来への果敢な対策をとらないで現状に甘んじ保身に走る」のがバカな経営者だ。
一人でも東芝にまともな経営者がいただろうか。プロであればリスクが増大して原子力発電のコストに合わなくなっていることぐらい十分分かったはずだ。
おそらく東芝の中にも原子量発電の将来性に疑問を呈する人たちがいたに違いない、経営者自身の耳にも入っていたかもしれない。しかしその考えを取り入れなかったのは原子力分野という現状に甘んじそして短期に成果をあげようとする保身があったに違いない。
本来であれば原子力産業から撤退すべきだった。そんなこと後からいくらでも言えるというのは違う。すでに当時太陽光発電がものすごい勢いでコスト削減をしていて原子力発電は多くの国で廃止が決められ、存続の場合でも厳しい規制追加がされていた。
まともな意見を聞かずに会社を潰した経営者の責任は大きい。役員報酬はすべて返すべきだろう。
2020年9月25日