ドラコの資産運用 織田俊夫

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「力による国境の変更の禁止」が国際法で正しいとすれば「民族自決の権利」はどうなるのか

 「力による国境変更の禁止」は広く国際法で認められたルールだ。ロシアがウクライナに侵攻しクリミアとウクライナ4州を併合したことに対して西側諸国は国際法違反だと非難している。

 どんな理由であれ国境を無理やり変更することは平和を破ることになるわけでやってはならないと国家間で決めたのだ。

 国際「法」と言っても多数ある国家の上にあって法を守る組織はないわけでそれぞれの国への強制力はない。国連があると言うかもしれないが、ウクライナ戦争で国連はせいぜい全体会議で決議をするだけで、常任理事国の決議はできていない、ましてや国連軍を出してロシアを撤退させることなどできない。

 一方で民族には「民族自決の権利」がある。個々の民族集団が自らの意志に基づいて、その帰属や政治組織、政治的運命を決定(自決)し、他民族もしくは他国家などからの干渉を認めないとする集団的権利だ。

 第一次世界大戦アメリカのウイリアム大統領が提唱し「十四か条の平和原則」の第五条にある。「十四か条の平和原則」は国際連盟の基礎となり、その中の第五条の民族自決の考えで東ヨーロッパのポーランドチェコスロバキアバルト三国アイルランドフィンランドなどなどが独立した。

 「民族自決の権利」は「力による国境変更の禁止」と同じく今日広く国際的に認められていている。

 国際法上ロシアのウクライナ侵攻は許されないとして、クリミア、ドネツク州、ルハンシク州、ザポリージャ州、ヘルソン州の5州の住民たちの「民族自決の権利」はどうなるのか。

 これら5州は70%~90%がロシア語を母国語としている。ほとんどがロシア人だということだ。

 ジレンスキーが言うように5州を軍事的に奪還できたとして、その後「民族自決の権利」を住人が主張すれば世界が認める公正な住民登場をして5州の帰属を決めなくてはいけない。

 残念ながらウクライナNATO、西側諸国にとってロシアに併合された5州の「民族自決の権利」は不都合な権利なのだ。

 ツイッターを買収したイーロンマスクは和平案として5州で帰属を問う国連監視下の住民投票をすべきと言っている。保守まで含めとんでもない案だと批難されているが、イーロンマスクは本質を見抜いている。

2022年12月5日