ドラコの資産運用 織田俊夫

政治、経済、社会、を常識眼で分析すれば資産は10倍になる

ロシアとウクライナの冷徹な比較

 何度か述べてきたが西側のロシア専門家はプーチン悪者、ロシア負けろ、の前提で話をしているのでことごとく予想を間違ってきた。一度ロシアとウクライナの現状についてできる限り客観的に比較してみよう。

 結論から言えば両者あまり変わらない、むしろロシアの方が有利だ。西側としては残念だがまずはその現実を受け入れることから始める必要がある。

 

1.政治:プーチン支持はジレンスキー支持より堅固

 プーチン、ジレンスキーともに国内支持率は80%を上回っている。西側のメディアはロシアでは言論統制がされているからプーチン支持率が高いとしている。しかしウクライナでも同様に戦時体制で言論統制、あるいは少なくとも同調圧力ウクライナ国民の中にあるはずだ。

 戦争前のプーチンの支持率は80%前後、ジレンスキーの支持率は30%前後だった。しかもウクライナにはロシア系住民が20%~30%いるし、過去にまっとうな選挙で親ロシア政権がウクライナに成立している。

 このことを考えればロシア国民のプーチン支持の方がウクライナ国民のジレンスキー支持よりも強固だと見ていい。

 ロシア国民がプーチンを追い出すことはないし、クーデターを企てる者がいると思うべきでない。

 

2.経済:ロシアとウクライナの比較:

 西側マスメディアと専門家は2月戦争開始当初ロシア経済は破綻すると予想した。

 だが一時的にルーブルは暴落したが、今は円に対してだけでなく高くなっているドルに対してさえもルーブル高になっている。

 ロシアはエネルギーを中国インドなど中立国に輸出しこれらの国から工業製品を輸入している。撤退したマクドナルドのあとはロシア資本が残された資産でよく似たまがいものビジネスを継続している。

 一方でウクライナ経済は破綻していると言っていい。ウクライナには武器に加えて生活物資の援助がされているが、企業活動は止まっているといっていいだろう。

 経済についてもロシアがウクライナを明らかに上回っている。

 

3.軍事:兵員動員数と武器調達

 ロシア予備役兵が招集されていてロシア兵士不足を西側メディアは繰り返し報道している。しかしウクライナは戦争当初から男性の国外移動を禁止し徴兵を行っている。

 ロシアが1億4千5百万人の人口であるのに対してウクライナは4千2百万人で三分の一だ。しかもロシアに併合されたクリミア含む5州は1千1百万人以上の人口がある。これを除けばウクライナは3千1百万人となり、ロシアの四分の1以下になる。(ルハンシュク226,ドネツク439,サボリーニャ177,ヘルソン108,クリミア190、合計1140万人)

 さらに残された31百万人の中に10%~20%の敵国であるロシア系国民がいるのだ。

 西側諸国からウクライナは武器調達を受けているが制限があって実際に5州を奪還することはできていない。ロシアは制裁によって部品調達に問題が生じている可能性はあるがそもそも兵器は国内生産にしているはずで西側メディアが言うほど軍需産業に影響は出ていないと見るべきだ。

 兵員動員についてはロシアが圧倒的有利、兵器については近代兵器を調達できているウクライナがやや有利で、全体を見れば互角と見るべきだ。

 

4.国際的な立場:

 侵攻後まもない国連決議では反対5か国、棄権25か国で可決されたものの、その後制裁を課しているのはアメリカ、EU、日本ぐらいのもので中国やインドはやっていない。

 国連決議はほとんど力がないわけで、非難決議に賛成し国々も積極的に関与しない、あるいは影でロシアを助ける動きに出ている。

 戦争の長期化、エネルギー価格の高騰でこの冬NATO諸国の足並みは乱れだす。

 国際的な立場はいままでウクライナが優勢のように見えてきたが、この冬は波乱が待ち受けていると考える。

 

 政治、経済、軍事、国際的立場、すべてにおいて少なくともロシアは対等あるいは優位、または今後優位になると言わざるを得ない。

 西側の日本にとって残念なのだが事実だ。

2022年10月8日