ドラコの資産運用 織田俊夫

政治、経済、社会、を常識眼で分析すれば資産は10倍になる

現実的なタイの麻薬取締方法

 フィリピンの入国管理局収容所にいる連続強盗事件容疑者の日本への移送を朝からテレビは実況中継している。

 容疑者4人は強盗殺人事件の前の特殊詐欺事件で日本の警察から逮捕状が出ている。

 だがフィリピン政府はフィリピン国内での犯罪を理由に引き渡しをしていたなかった。おそらく容疑者たちは賄賂を渡して日本に送還されないようにしていたのだ。

 かつてタイではフィリピン同様に地下組織が力を持っていて麻薬が横行していた。

 1999年タイ通貨バーツは売りを浴びせられて暴落した。経済が破綻する中でタクシン元首相(在任2001年から2006年)は政治、経済、社会の大改革を行った。

 外国資本を積極的に取り入れ、日本などを見習って法制度を確立し、街で物貰いをしていたこどもたちを警察の車が集め小学校に通わせた。

 やり方は強引で支持する人もいれば猛烈に反発する人も多かった。最後は反対派のクーデターでタイを追い出されることになる。だがこの間に経済は復興しタイは貧困を脱した。

 麻薬取り締まりも極めて強引だった。

 それまで犯人を逮捕して監獄に入れても暫くすると釈放される繰り返しだった。

 タクシン元首相は麻薬組織に突入する特殊部隊に発砲することを許可した、というより積極的に発砲させた。警察のトップはこれを徹底し警察官たちは容赦なく発砲し多くの容疑者たちを殺した。一連の取締で麻薬組織は縮小し麻薬の流通は大幅に減った。

 ある政府関係者がこれが一番現実的な方法なんですよと言っていた。

 もし麻薬犯人を逮捕して裁判になると警察官が麻薬組織から賄賂を受け取っていることがバレてしまうことがある。容疑者があれこれ警察にとって不都合なことを言いだす、だから警察官にとって取り締まるなら口封じ、つまり殺してしまうのが一番、ということらしい。

 タクシン元首相は警察も腐敗していることを知っていた。その前提で目的を達成する方法を考えて実行できる現実主義者だった。

 法廷審議中の容疑者はフィリピンの法律上日本に引き渡せないはずだ。4人の容疑者を日本に引き渡すべきと判断し強引に実行しようとしているマルコス大統領はもしかすると親父さんとは違いタクシン元首相のようにできる男かもしれない。

 マルコス大統領は米軍の再誘致もしており私は期待している。

2023年2月7日