少子化対策の議論で若い人の賃金が安いのが少子化の原因で賃金を上げないといけない、という意見がある。
だが無理やり労働者の賃金を上げると少子化対策にならないばかりか少子化をさらに進めることになる。
一見子育て世代も含め労働者の賃金を上げると生活に余裕できて結婚する人が増えこどもを作ろうとする人が増えると考えるがそれは間違いだ。
過去のブログ「経済学、物価はほとんど人件費だけから成り立っている。」(2020年3月27日、29日)で述べたようにこの世の中の物価は人件費とわずかの材料費で成り立っている。
人件費が上がれば当然世の中の物価も上がる。
物価が上がったとしても一様に上がるのではなく、人件費比率が高いものが先に上がっていく。
子育て世代の出費を具体的に考えると、家庭教師代、塾代、ファミリーレストラン、清掃代、保育園、家事代行、が他のものに比べて真っ先に賃金値上げ圧力の影響を受けて値上がりする。子育てには人が関与する、つまり人件費がかかるサービスを受けなくてはいけない。
一方でスーパーマーケットの食材や100円ショップの商品はなかなか賃金上昇の影響を受けない。
人件費が上がった社会は、スーパーで肉を買って焼いたら安いがレストランでステーキを頼むとべらぼうに高い今の西ヨーロッパのような状態だ。
子育て世代の賃金が上がったとしても、こどもの教育費は同等あるいはそれ以上に値上がりすることになる。
外食をせずにスーパーで買い物をして自炊し教育費用が高いのでこどもは作らないことにするのが賢明な生き方になる。
国民全体の賃金が上がれば問題が解決すると失敗する。やるとするならば子育て家族だけの所得の増加、つまり子供がいる家庭の大幅な減税しかない。
そして後日別のブログで述べるが、本当に少子化対策でやらないといけないのは賃金ではなくて他にある、そのことに気が付き国民は共有しなくてはいけない。
2023年3月1日