ドラコの資産運用 織田俊夫

政治、経済、社会、を常識眼で分析すれば資産は10倍になる

みんな分かっていない黒田日銀総裁の言う2%物価上昇の世界 今の西ヨーロッパ社会とおなじ

 いままでの3回のブログで以下の3点を述べてきた。

 1.材料費が上がらないとすると物価は人件費の上昇によって生じる。2.個々の物の値段はコストの人権比率が高いものがより高くなり、人件費率が低いものはそれほど上がらない。3.適正な政策がおこなわれば給与(人件費)は物価よりも上昇する。

 この世界はすでに今の西ヨーロッパで生じている。

 過去20年間日本は物価が上がらずほぼデフレに近い状況であったが、西ヨーロッパでは毎年2%前後の物価上昇があった。日本人の一人当たりの所得は1990年ごろ世界で1,2位だったが、その後30年間伸びずに2021年には西ヨーロッパと比べるとしたから数えたほうが早くなってしまった。

 ドイツ、フランス、イギリス、ベルギー、オランダ、などにおいてはこの30年間2%前後の適度なインフレがあった。

 筆者は1990年頃前半に西ヨーロッパにいたが物価は安かった。信じられないかもしれないがカフェのビール小瓶が120円~150円だった。街中のカフェで120円、高級ホテルで150円だった記憶がある。そのころ円高であったこともあるが、ともかくヨーロッパは物価が安く東京はべらぼうに物価が高いと言うのが一般的な見方だった。今のビール小瓶の価格は分からないがおそらく数倍になっているものと思う。

 西ヨーロッパのスーパーの価格は日本のスーパーとはあまり変わらない。もちろん昔は日本の牛肉が高かったりしり、欧州での日本食が高かったりしたが、貿易の自由化でだいぶん差はなくなっている。

 一方で日本では500円で昼食が食べられるが西ヨーロッパではまず無理だろう。最低賃金が1500円、2000円するので500円でランチを提供することは不可能だからだ。

 つまり先のブログで述べたように人を使わないものについては価格は安いが、人件費がかさむものは価格が高い。

 そうなるとお金を節約する庶民は自宅で食事をする。友人とはレストランでは食事をせずにホームパーティーをすることになる。

 庭の手入れは職人に頼まずに自分でやるし、家の手入れや修繕はDIYで材料を買ってきて自分でやることになる。

 建物も人件費の占める割合が高いので新築は高くなる。中古住宅を買って自分で修繕していくことが普通になってくる。

 欧州人の習慣には高い人件費が背景にあるのだ。

 人件費が2倍になったても物価も上がるから実質収入が2倍になるわけではない。だから2倍に豊かにはならない。

 さらに人件費のかかる物資や資材は高くなるので今の欧州のようにその世界は必ずしも便利なものではないかもしれない。

2022年1月15日