40万円が複利5%だと40年後に6倍以上の264万円になると述べたが、低成長の日本に慣れていると簡単に信じることはできない。
だが一つ面白い例を紹介する。
1990年バブル絶頂のすぐ後まだ日本がこれから30年以上の長い低成長に陥るとほとんどの人が信じていない時に私は変額保険なるものを買った。
100万円を投資すると保険会社は株式などに投資する。いつでも解約ができるがおよそその時の株価で決まった解約金を受け取ることができる。
その時まだまだバブルの勢いが続くと私も思っていたのでたぶん数年後には解約金は120万円ぐらいになると投資目的で期待していた。
だがその後日経平均株価は急落してしまった。今もまだバブル最高値を塗り替えていない。
なので毎年保険会社から連絡が来るが100万円を預けたのに解約金は一時30万円台に落ちていた。今株価は3万円台まで上がっているので解約金は80万円台になっている。
保険会社は解約時の株価に相当する金額を払えばいいのでこれだけを考えるとリスクがないように見える。
だが変額保険はこのままいくと保険会社は大損することになる。
私が死亡したら480万円を払わないといけないことになっているからだ。
若いころ資産運用のために保険契約をしたのであって自分が死ぬことを考えて投資したのではなかった。60歳を越えて死亡保険金に気が付いていたことを思い出した。
私は必ず死ぬので保険会社は必ず480万円をいつか支払わないといけない。
つまり30歳前後で100万円を投資したとして87歳まで生きたとするとその間の47年の間に保険会社は預かった100万円を4.7倍の470万円以上にしないといけない。
1990年当時保険会社は100万円をあずかって47年後に4.8倍以上、利益分を含めてたぶん6,7倍にすることができると踏んでこの保険を設計したのだ。
それは当時の日本の成長率が発展途上国と同じぐらい高くこれからも続くと信じていたからだ。
実際は解約金が100万円を下回っているので保険会社は4百万円ぐらいの損がでる。
成長率がゼロやマイナスならば資産は増えないし元本を割ることすらある。だが高ければ資産は簡単に数倍になる例だ。
2023年12月22日