先のブログ(4月27日)で中小の個人投資家は利益よりもキャッシュフローを重視したほうがいいとしたが、具体的に見て見よう。
購入金額100百万円、家賃収入3.5百万円、利回り3.5%の鉄筋コンクリートの4戸新築ワンルームマンション一棟を購入したとする。土地代が53百万円で建物を47百万円とした場合、毎年の原価償却費は47百万円÷47年=100万円となる。
仮に1億円全額を47年間の銀行借り入れとし、47年の金利合計を41百万円(およそ2%の金利)とすると年間の返済金額は(100百万円+41百万円)/47年=3百万円となる。
家賃収入が350万円で銀行返済が300万円となると差額は50万円。管理費などの諸経費と固定資産税を20万円とするとキャッシュの法人税前手残りは30万円となる。
一方で利益をみてみよう。47年間の平均家賃収入350万円で、経費は減価償却費100万円、平均金利87万円、管理費の諸経費と固定資産税20万円の合計207万円となり、47年間の平均利益は350万円-207万円=143万円となる。
実行法人税率を20%とすると143万円x20%=28万円。法人税後手残りは30万円-28万円=2万円となる。
つまり47年後あるいは売却までの間平均して年間利益は143万円、キャッシュ手残りは2万円になる。
毎年キャッシュが2万円しか残らないのは厳しい。一番しんどいのは空き家になった場合一気にキャッシュがマイナスになってしまう。もちろん最終的に売却するときに銀行借入金残高が売却額のほうが大きい場合キャッシュが入ってくるのだが売却時のキャッシュを期待して20年も、30年もキャッシュフローを気にしながら過ごすのは中小の個人投資家にとっては厳しい。
一方で資金力のあるファンドなどはキャッシュは気にしない、利益だけに注目できる。毎年143万円の利益があるということは1.4%の利回りが期待できる。ファンドはもっと銀行から低い金利で借り入れができるだろうからそれを繰り込めば利益率はさらに上げることができる。
中小の個人投資家にとってSRCの大型物件はキャッシュフローが厳しいので最初は避けたほうがいいと考える。また売却は個人も声をかけてくるだろうが資金繰りを考えると耐えれないことが分かり途中で降りる可能性が高く、ファンドに売る方が早く決まるものと考える。
2020年5月2日