ドラコの資産運用 織田俊夫

政治、経済、社会、を常識眼で分析すれば資産は10倍になる

映画「21世紀の資本」トマ・ピケティ―を観て

 緊急事態宣言解除で早速経済学者トマ・ピケティ―の映画「21世紀の資本」を観てきた。

 「21世紀の資本」はフランスの経済学者トマ・ピケティ―の著書の映画化だ。映画の方は17世紀ごろからの経済の歴史をノンフィクション形式でトマ・ピケティ―含む数名の学者が説明するという形になっている。

 トマ・ピケティ―が言っているのは簡単に言うと働くことによって得られる賃金の上昇よりも資本によって得られる利益の上昇の方が高い、その結果金持ちはどんどん金持ちになって労働者はなかなか金持ちになれず、貧富の差は開いていく、というものだ。

 具体的に言えば東京6区(千代田区、新宿区、渋谷区、文京区、港区、品川区)の地主のこどもは頭が悪くていい会社に入れなくても雪だるま式に家賃収入が増えて一生楽して暮らせる、一方で地方出身で頭がよくていい大学いい会社に行っても給与の上昇はそれほどでもなく金持ちにはなれない、ということだ。

 実際に40年ほど前に入った会社は就職企業人気ランキング1位〜3位で、新入社員は有名国公立早慶だった。私は途中で辞めたが40年間倒産せず、同期の友人たちはそれなりに高給をもらい続けていたようだ。

 だが同期入社100名の内東京6区に不動産を持っているのは2,3人だ。一流大学を出て一流企業に勤めてもその程度なのだ。

 そしてトマ・ピケティ―は言う、戦争は金持ちも貧乏人も大変な目に遭うが、戦争は金持ちの資本を破壊するので戦争の後は貧富の差が縮まる。

 万が一戦争が起こって東京の地主のアパートが壊滅したら一気に貧富の差は縮まることになる。日本が戦後一時期「一億総中流」などと言われたのは第二次世界大戦で資本家が財産を失い貧富の差が縮まったからであって、その後戦争が遠ざかるにつれて日本は貧富の差が拡大している。

 トマ・ピケティ―の結論は平和な時代はどんどん貧富の差が広がるので、所得税の累進化、相続税の強化、資産への課税、タックスヘイブンへの資産移動規制強化、などをやらないといけないというものだ。

  ある程度所得の結果平等はあっていいと思っている私には正しい主張だと思う。

 だが実際に政治の世界をみると立憲民主党社民党、国民党、共産党、など野党はモリカケ、サクラ、ケンサツと政府を批判することしかやっていなくて、本来リベラルがやらないといけない所得の結果平等を目指す、所得税の累進化、資産課税、相続税の強化、タックスヘイブンの規制、などには全く興味がない。

 どうしてリベラルに分類される政党は本来の所得再分配という最も重要な仕事を放りだしてしまうのだろうか。

2020年6月2日