いままで数件の裁判を日本と海外で行ったことがある。
その裁判で被告もやれば原告をしたこともある。つまり訴えたこともあれば訴えられたこともある。
裁判は事実の積み重ねの勝負だと思う。
テレビドラマに出てくるような検事、弁護士が丁々発止でやり取りをすることは自分の数回の経験では一度もない。
被告であるときに原告の弁護士から直接質問を受けたことはないし、原告であるときに被告の弁護士士から質問を受けたこともない。
ほとんどのやり取りは陳述書とそれに添付される証拠を提出して行われる。かようなことがありましたと陳述書に書いてその裏付け資料を添付して弁護士経由で裁判官に提出するという作業だ。
一度こちら側が出すとそれに対して相手側が反論を資料、つまり陳述書と裏付け資料で回答をしてくるというやり取りだ。
陳述書には資料で証明できる事実だけでなく資料のない事実を書くこともできるし、加えて自分の思ったことや考えを述べることもできる。
資料のない事実や自分の意見を裁判官に聞いてもらいたいのはやまやまなのだが、聞いてもらうには「嘘をつかない」というのが一番重要になってくる。
その点で陳述書に書く事実とそれを証明する証拠については謙虚に事実を羅列していくしかない。自分に不利な事実を控えめに書いたりするテクニックはいいとしてウソを書くのはやめておいた方がいい、バレた時に裁判官の心象を悪くしてしまう。
つまり徹底して事実を陳述書に書き続けることで裁判官の信用をえることが大事で、その上で自分の感想と意見を述べるのが一番よい方法かと思う。
2020年10月6日