ドラコの資産運用 織田俊夫

政治、経済、社会、を常識眼で分析すれば資産は10倍になる

中国大破壊「共用富裕」を習近平は本気でやる

 多くの識者は今経営危機に瀕している不動産デベロッパー恒大を最終的に中国政府は救うだろうと楽観視している。

 それは「救済しないと中国経済が大変なこととなり、日本のバブル崩壊のように致命的な損害を与えることになるから習近平は救済に乗り出す。」というものだ。

 だがこの識者たちの推論は根本的に二つの間違いを犯している。

 最初に中国共産党をよく知っている人たちからの意見と同じであるが、習近平中国経済の重要な一部である不動産市場を本気で破壊しようとしているということだ。

 大手の不動産会社を倒産させれば、連鎖倒産が起こることは十分考えられる。そして中国経済に多大なる損失が出ることは明らかだ。

 しかし習近平はそのことを百も承知で不動産バブルを潰そうとしている。彼は確固たる決意をもって中国経済を破壊するつもりなのだ。

 1980年代後半に「土地価格が下がったら大変なことになるから政府も日銀も土地の価格を下げない」という理論がまことしやかに話されていて、みんなそれを信じていた。

 だが日銀の当時の三重野総裁はバブル退治と銘打って金利を上げ、土地バブルは崩壊した。

 土地の価格が下がったら大変なことになるから、という理屈は日本でも通じなかったのだ。

 経済が停滞してもいいから普通の中国人が買えるまで不動産価格を下げる、それは習近平は「共用富裕」で公言している。中国経済を破壊しても、つまりどのような犠牲を払っても彼は達成しようとしているのだ。

 次に日本のバブル崩壊のように破壊から低迷が始まると言うのは間違っている。

 日本がバブル崩壊後長期に低迷をしたのは、自民党民主党の歴代政権が緊縮財政をし、日銀が金融引き締めを行ったせいだ。財政金融政策の明らかな失敗だ。

 一方で例えばリーマンショック後世界の多くの国々は積極的な財政金融政策で早く立ち直っている。

 また大破壊と言えば日本は第二次世界大戦後巧みな財政金融政策で一気に復興をした。

 大破壊の後必ずしも経済は停滞しない、回復するかどうかは国力と財政金融政策で決まるのだ。

 中国が今回の「共用富裕」による中国経済大破壊のあと回復するかどうかは財政金融政策にかかっている。つまり大破壊があったとしても早期の回復がないとは言えない。

 しかも中国には数億人のまだ豊かになっていない人たちがいる訳で、その人たちの需要は経済回復に大きな力となるだろう。それは老齢化の進んだ日本とは違うのだ。

 かように習近平は「共用富裕」の名のもとに膨れ上がった不動産バブルを徹底的につぶすだろう、そして並行して積極的な財政金融政策で短期で経済回復するものと私は見ている。

 蛇足だが中国に投資するならば大破壊が終わったころ、数か月先から1年先ではないだろうか。そして今まで「中国」と「環境」には投資するなと繰り返し言ってきたことが当たったことを付け加えておきたい。

2021年10月3日