「敵はロシアではなく中国である」というアメリカ外交の基本の基本を「バイデン大統領と民主党は間違ってしまった。
これは極めて重大な戦略上の間違いであり、西側諸国の外交軍事の致命傷になる。
対峙しないといけない国が中国である理由は以下の通りだ。
まず中国は世界のGDP2位であり、ロシアのGDPは11位である。ロシアは経済大国でないが中国は経済大国である。
次にロシア経済を西側経済からデカップリングすることは難しい話ではないが、中国経済をデカップリングするのは相当な困難がある。
三つ目としてロシアも中国も核兵器を持っているが通常兵器においてロシアは資金難にあるのにくらべて中国は予算増額を行っており、それをサポートする経済力はまだまだ衰えを見せていない。
四つ目としてロシアが軍事的領土拡大に興味があるのはウクライナだけだ。ウクライナに攻め込むことはあってもNATO諸国に戦争を仕掛ける可能性はほぼゼロだ。一方で中国が台湾に侵攻することは常々考えているし、インドとの国境紛争、尖閣沖縄への支配権の拡大、ロシアシベリア領への領土拡大を考えていることは明らかで帝国主義を隠そうともしていない。
トランプ政権時代にアフガニスタンからアメリカ軍を撤退することを決めた。中近東ではイスラエルとイスラム諸国が国交を結ぶこととして緊張緩和の流れとなり、イランを包囲する体制が出来つつある。これでアメリカと西側諸国は対中国に全力を傾けることができるようになるはずだった。これらのお膳立てはすべてトランプ前大統領時代におこなわれてものだった。
にもかかわらず米伝民主党政権はアフガニスタン撤退では無様な姿を見せて失態を世界に見せてしまった。アフガン撤退が無様でもあとは中国を締め上げればばよかったにも関わらずロシアをいたずらに刺激して圧力をかけて戦争に引きずりだしてしまった。
アメリカと西側諸国は今後少なくとも数年間ロシアに対して軍事力だけでなく外交経済などの資源を投入しなくてはならなくなってしまった。
一方で中国はロシアのウクライナ侵攻の失敗で多くの利益を得ることになる。
アメリカは中国に圧力をかけているが限界があるだろう。中国はロシアに対しては目立たないようにまた秘密裏に多くの便宜を払うに違いない。ロシアから大量のガスを安く購入すこともできるし、ロシアとの貿易を活発にすることで利益を得ることができる。さらに軍事技術の交換も秘密裏にやるだろう。
台湾進攻についてより慎重に狡猾な計画を練るだろう。香港の併合弾圧で中国のやり方は世界の批難を浴びながらも成功した。経済制裁を受けたとはいえそれほど大きなものではなかった。
中国は香港の成功体験があるので比較的簡単に考えていたはずだ。それはプーチンがクリミア併合で旨く行った成功体験でウクライナ侵攻を杜撰に計画したのと同じだ。
中国は台湾の併合をロシアのウクライナ侵攻失敗を見て練り直しているはずだ。世界の世論を敵に回さないよう、台湾国民の反発や武力抵抗を最低限に抑えることも考えるはずだ。
相手にすべきは中国であるにも関わらず大量の国家資源をロシアのウクライナ問題に投入してしまったバイデン民主党政権は致命的失敗をしたと言っていい。
2022年3月23日