ドラコの資産運用 織田俊夫

政治、経済、社会、を常識眼で分析すれば資産は10倍になる

静岡県幼稚園の園児置き去り事故について

 静岡県牧之原市静波の認定こども園「川崎幼稚園」の送迎バスに置き去りにされて園児が死亡した。

 なんとも痛ましい事故だが、私はサラリーマン時代の東南アジアでの出来事を思い出した。

 私は日系企業の自動車部品メーカーの現地社長として駐在していた。数年経って会社は順調で売上は伸び品質も安定していた。

 それでもたまにお客さんの問題や自分たちの問題で納期がぎりぎりになることがあった。

 自動車メーカーは看板方式を採用していて時間通りに決められた数量を部品メーカーは納入することになっている。できないと自動車組み立てラインは停止することとなってお客さんからは大目玉を食らうだけでなく損害賠償まで請求されることになっていた。

 ある日原因は忘れたが納期がぎりぎりになってしまった。

 前日に納めなくてはいけない部品がまだできない。お客さんと交渉をして12時までに納入すればお客さんの生産ラインは止まらないことが分かった。トラックで2時間となると10時には出荷しなくてはいけない。

 部品が仕上がってきたのは9時40分、急いで梱包をしないといけないので私も物流倉庫に行って手伝おうとした。その時現場の女性スタッフから大きな声で、

「社長止めてください!手伝わないで!」と言った。

 その声に私は我に返った。そう手伝ってはいけないのだ。

 梱包の作業をしていいのは梱包作業の訓練を受けたものだけと品質ルールで決まっている。私は訓練を受けていないので緊急の場合でも手伝ってはいけないのだ。

 その時正直わが社もだいぶん成長したものだと思った。

 もちろん最後の最後どうしようもない時は手伝ってもいいとは思うが、自動車業界にはかような厳しいルールがある。それが日本の自動車産業の根幹となっている。

 静岡の幼稚園の普段の運転手は毎日残った園児がいないか確認していたのかもしれない。園長は職員に迷惑をかけてはいけない思って自らバスを運転したのだろう。だが園児がいないか確認する訓練は受けていなかったに違いない。バスを園児が降りたあと確認することはマニュアルに書いてあったのだろうか。あったとしても園長は読む機会がなかったのだろう。

 今回園長だけに責任は被せてはいけない。①安全確認マニュアルと訓練の欠如②運転手不在の時のマニュアルがない、③運転手、臨時運転手に訓練がなされていなかった④政府は通達を出すだけで指導監査をしていなかった、が真の原因だ。二度とかような事故が起こらないように政府はきっちり指導すべきだ。

 だが残念ながら文部科学省厚生労働省には東大出の馬鹿ばかりでかような考え方ができる人はいない。

2022年9月7日