パリの街は二度美しい。
写真を見たり最初にパリに行くと街並みが綺麗なことに驚かされる。ピンクか黄色がかった建物が整然と並んでいる、そしてどこか温かみがあって公園も各所にある。
だが実際に歩いてみるとペットの糞がおちている。今はどうか知らないが私が欧州にいた1990年代の歩道は気を付けて歩かなければいけなかった。
低所得者層の街に行くと殺伐としていて危険を感じるし、街にはいろんな国の人種の人達が歩いている。
実際にパリに観光に行った日本人の多くはパリの街は汚い安全ではないという。
だがパリの街の汚い部分に慣れてくると不思議に再びパリの街がきれいに見えてくる。
そんなパリの街を92歳の老女とタクシー運転手が縦断する。老人は長く住んでいた家からパリの街の反対側の老人ホームに向かうのだ。道すがら何度も寄り道をする、その間に老人の数奇な人生が明らかになり、愛想の悪かった運転手と打ち解けていく。そんな話だ。
このところフランス映画を見るのが続いている。
最近のアメリカ映画は誰にでも分かる勧善懲悪ものの単純なストーリーが多い。逆に日本の映画は繊細で私のような武骨者には分からない時がしばしばある。おそらく外国人にはちんぷんかんぷんのものもあるだろう。
フランス映画はその間のように思う。ストーリーは単純だがどこかにエスプリが利いている。大人でないと分からない人間臭さがあるのだが、グローバルに世界の人々が分かる映画になっているように思う。
実際日本でもタクシー運転手の映画がいくつかあるが私は神経を研ぎ澄ましてみないとわからない。
「パリタクシー」は想像できるストーリーではあるがパリの街がきれいで人間臭く泣けるところがなんどもあって星三つ。
2023年4月26日