ドラコの資産運用 織田俊夫

政治、経済、社会、を常識眼で分析すれば資産は10倍になる

映画「コンパートメントNO.6」を観てきた。その2

 この映画の中の出てくる列車で同室になった粗野で酒浸りのロシア人青年リョーハは当時1990年代の典型的なロシア人男性のイメージだ。

 1989年東西ドイツを隔てていたベルリンの壁が倒れ1991年ソ連は崩壊した。共産主義が挫折し自由で豊かな社会が来るかと思ったら全く逆だった。

 エネルギー産業などロシアの主たる国有企業は二束三文でユダヤアメリカ資本に売却された。外資が猛烈な勢いでロシア経済を牛耳ることになる。 

 共産主義から資本主義の移行は混乱を極めた。急激な自由化は労働者解雇を進めることになった。

 1998年には失業率は14%を超えることになる。特に若者の失業はひどく二人に一人は仕事がない状況だったと言われる。

 ロシアの男性たちは仕事を失い自信を失いウオッカを朝から飲む生活になりアルコール中毒はかつてない社会問題となった。

 1994年ロシアの平均寿命は64.5歳まで落ちた(共産主義末期は67〜70歳)。数年で平均寿命が3年~5年短くなったと言うのは社会が地獄となっていた証拠だ。 

 それを救ったのがプーチンだ。

 リョーハは酒をよく飲んでいたが一応鉱山の職を持っていた。しかも独立してビジネスをやるんだと言っていた。

 経済の大混乱の中で仕事を失わずに済んだのだろうか。

 もしかすると仕事がうまくいかずにあの調子でウオッカを飲み続けアルコール中毒で最後はラウラに見捨てられたのかもしれない。

 しかしリョーヒの行動力からすれば2002年プーチンが大統領になった以後の経済復興の波に乗ってビジネスでの大成功も考えられる。

 二人は立派な家に住んで見事に太って若いころの見る影もないオジサンとオバサンになっているに違いない。

 そしてリョーヒは経済復興したプーチンを熱烈に支持しているはずだ。

 フィンランドNATO入りについてラウラが賛成しリョーヒが反対して夫婦で議論している様子が見える。

 二人にこどもはいるのだろうか。ラウラはロシア語が話せてリョーハはフィンランド語が話せないから二人はロシアに住んでいるはずだ。

 男の子だったら二十歳ぐらいか、徴兵でウクライナに行っているのかもしれない。それとも二重国籍を利用してフィンランドに逃げたのだろうか。 

 映画はフィクションのはずなのにラウラとリョーヒ二人のその後を心配してしまう。

2023年3月3日