ロシアの傭兵ワグネルが反乱を起こし一時ロシアに攻め込み、最終的にルカチェンコ大統領の仲裁でベラルーシに亡命することになった。
プーチン大統領の指導力低下と西側メディアは報道している。一方でネットの世界ではワグネルとプーチンが巧妙に仕組んだ「芝居」だという説が出回っている。
そんなバカなと最初は思ったのだが、全く可能性がない話でもないかもしれない。もし「芝居」であったとしたらジレンスキーは大変な危機に陥ったことになる。
その根拠は今までワグネルは言っていることとやっていることが違うことだ。
ワグネルはロシアのショイグ国防相に対して不満をぶつけていた。戦闘の要衝バフムトから撤退するとなんどもロシア政府を脅していた。しかし結局ウクライナ軍を撃破しバフムトを完全掌握した。表向きは何と言おうとワグネルはロシアのために戦ってきたのが事実だ。
次にロシアに反旗を翻すことは、一生プーチンから命を狙われることを意味する。秘密警察KGB出身のプーチンが反逆者を許すわけはなく、西側に亡命しない限り死と隣り合わせになる。そんな無謀なことをワグネルはしたのだろうか。
そしてロシア領土に200キロ以上ワグネルは進軍したにもかかわらずロシア軍はまともな反撃をしなかった。戦力浪費を避けた、あるいはロシア軍が弱すぎて反撃できなかった、と言うことも考えられるがロシアが反撃しなかったのが不思議だ。
これらを考えるとプーチンはワグネルのベラルーシ移動を最初から承認していたとする見方が出てくるのはもっともなことだ。
地理上ウクライナ首都キーフに一番近いのはロシアではなくベラルーシだ。ベラルーシの国土は舌のようにキーフに向かって南に伸びていてキーフまで100キロしかない。
もしここにロシアの息のかかったワグネルが駐屯したらジレンスキーは喉元に刃物を突き付けられたことになる。
このブログ「ウクライナ戦争は実質停戦その5。キーフを攻撃されればウクライナは反転攻勢できない、」(2023年6月14日)で述べたように占領した東部5州に塹壕を築いて守りを固めキーフに精鋭部隊でにらみを利かせばロシアは断然有利になる。
ベラルーシはロシアの一番の友好国だが、ウクライナ戦争には参戦していないし、今後も参戦しないだろう。
しかしワグネル軍をキーフ方向に伸びた舌の部分に駐屯させることを認めることはできる。これはウクライナへの強烈な威嚇になる。
ルカチェンコ大統領は「亡命軍を匿っている。」と言えばいい。ワグネル軍が突然国境を越えてキーフを攻め込んでも「コントロールが効かない、彼らはベラルーシ軍ではない。」と言い訳ができる。
ないとは思うが、ワグネイル軍の反乱が「芝居」だったり、ロシアとの改善が修復したりしたら、ジレンスキーは軍配備で極めて不利な状態になる。
2023年6月27日