65歳からの年金支給を70歳まで待つと42%増える。最大の75歳まで待つと84%増える。
一見お金が増えるおいしそうな話だ。
だが繰り下げ受給を受けている人は1%しかいない。
ユーチューブの解説には銀行にお金を預けても金利が付かない、年金受給を遅らせれば毎年8%づつ受給額が増えるからぜひとも検討すべきだ、と言っている。
だが結論を言うと繰り下げ需給はやめたほうがいい。
65歳時点で年間100万円の年金の人が繰り下げを選ぶと70歳には年間142万円になり、75歳支給開始とすると年間184万円になる。
70歳繰り下げの場合、70歳から82歳の始まりまで受け取る金額は142万円x12年=1740万円を受け取る。繰り下げをしない場合65歳から100万円を受け取るから100万円x12年=1700万円となる。繰り下げが82歳時点から得になる。
75歳繰り下げの場合、75歳から86歳の始まりまで受け取る金額は182万円x22年=2280万円を受け取る。繰り下げをしない場合65歳から100万円を受け取るから100万円x22年=2200万円となる。繰り下げが86歳時点から得になる。
さて65歳時点で将来もらうお金を現在価値に割引してみよう。「割引」「現在価値」については別途調べてほしい。将来受け取る現金を今の価値にすると割引される、将来の収入の方が価値がないということだ。
金利を3%と仮定する。
70歳繰り下げの場合、70歳から86歳の始まりまで受け取る金額の現在価値は1611万円。繰り下げをしない場合65歳から86歳まで受け取る100万円の現在価値は1614万円。現在価値では。繰り下げが86歳で得になる。
75歳繰り下げの場合、75歳から92歳の始まりまで受け取る金額の現在価値は1932万円。繰り下げをしない場合65歳から100万円を受け取る場合の現在価値は1930万円。繰り下げが92歳で得になる。
現在価値に直さなくても81歳や86歳までキャッシュフローはマイナスなのだ。割引、現在価値の考えでやると86歳や92歳でようやくプラスになる。
ここまで生きられる確率は半分だ。たとえ生き延びて総額がプラスになっても翌年死んだとしたら老後のほとんどの期間を繰り下げしない場合より資金繰りの悪い状態で生きたことになる。
これに加えて所得税を考えればほとんどの人にとって繰り下げ需給はメリットがない。
このブログに反論できるのであれば繰り下げで良いと思う。
2023年7月8日