2025年停戦協定があるとすればクリミアを含む5州の当面のロシア占領を認めることになる。
このことはロシアの勝利を意味する。しかし同時に停戦はプーチン大統領にとって不都合な点もある。
ウクライナはもともと親ロシアと親西側がおよそ半分ずついた。普通に選挙をするとどちらかというと親ロシアの方がやや多数だった。
2015年マイダン革命、暴力で転覆された当時のウクライナ政府は選挙で選ばれた親ロシア政権だった。つまり少なくとも当時まではウクライナ国民の半数は親ロシアだったのだ。
ロシア系住民が多い5州をウクライナから切り離すと残りのウクライナでは多数派が親西側になってしまう。つまり5州を失ったウクライナで選挙をすれば反ロシア政権ができる。
停戦で余裕のできた親西側ウクライナ政府は軍の再構築を行いアメリカを含めるNATOとさらに緊密な軍事関係を築くことになる。
5州を失ったウクライナは半永久的に反ロシア親西側政権が続くこととなりロシアは安全保障を得ることができない。
ロシアがウクライナに親ロシアの傀儡政権を作ることも可能だが、5州を失ったウクライナは親西側が多数なので独裁政権でないと成り立たない。その場合世界から批難されるだけでなく反政府運動が永遠に続くことになる。
ロシアは停戦よりも今の状態が長続きするほうが好ましい。戦争が継続する限りウクライナは絶えず劣勢であり、軍を再構築したり核を持ち込む余裕ないし、軍と経済は破壊された状態で到底ロシアを転覆するだけの力を得ることはない。
このままずるずると戦争を長期化し占領地域を漸増し、核の脅威でウクライナへの核配備を西側に躊躇させ、NATO入りを阻み、永遠に勝てないウクライナに西側の反ロシア資源を集中させて消耗させるのが一番いい戦略だ。
プーチン大統領は停戦協議に応じるとしているが、ロシアにとって停戦のメリットがない以上簡単に合意することはない。プーチン大統領を交渉の席に本気で座らせるにはシェールガスの掘削再開をしてエネルギー価格を暴落させてロシア経済を追い込む以外に手はない。
2024年3月26日